"お願いだ、違っていてくれ"
そう願いながら、担架へと
向かう足を止めなかった。
けど、そんな俺の願いを打ち消すように、
現実は俺を完全な絶望へと突き落とした。
だって、担架から見えた顔は
完全にひよちゃんだったからだ。
俺が見間違えるはずがない。
……18年間、傍で見てきた顔なのだから。
担架まであと少しという所で、
警官に取り押さえられる。
「君、関係者以外は立入禁止だ!」
「っ!離せよッッッ!!!!!!!!
あの子は…っ!あの子は俺の…ッッッ!!!!!!!!」
「君!おい誰か、彼を取り押さえろっ!」
複数の警官が俺の体を取り押さえて、
救急車の中へと消えていく大切な存在に
近付くことが叶わないまま、
俺は泣き叫ぶことしかできなかった。
「あの子は俺の…っ……」
大事な存在。
なくすことなんてできない。
自分の命より大事に思ってきた…
「彼女…なんだよぉ……っっっ!!!!!!!!」
