(事故なんて、嫌な予感…)
そんな俺を他所に、
「可哀想にねぇ…」
と隣にいた老人の女性が呟く。
「…何かあったんですか…?」
俺は尋ねてみた。
「状況を見て分からないかい?
交通事故だよ。どうやら、女の子が
車道に飛び出した子供を庇って、
車に撥ねられたみたいだよ」
「え…女の子…?」
現場には、女性の言う通り、
確かに血の海が広がっていた。
これは相当な事故だと見て取れる。
救急隊員が、被害者だと思われる人物を
担架に乗せて運ぶのが見えた。
それを見た瞬間、
俺の息が止まりそうになった。
担架で運ばれる人の服に
見覚えがあったからだ。
だってそれは、さっきまで見ていた……
「ひよちゃんの…服……と同じ…………」
血が付いていて、模様なんて
分かりづらいのに何故か俺には分かった。
「……まさか…っ…!!!!!!!!」
俺は無我夢中で人ごみを
掻き分けながら走る。
