女の子の顔に、少しずつ
見覚えのある面影が重なってきた。



「も、もしかして…風英…?」


「!、やっと思い出してくれた!?
そうだよ!従姉妹の風英(かえで)!」


風英はそう言うと、もう一度
抱きついてきた。



「で、母さんの頼みって…まさか、
風英と関係ある、とか…?」


俺は母さんを振り返る。


母さんはその言葉に
ニヤリと笑みを浮かべた。


「もちろん。風英は今年受験なの。
だから、家庭教師としてあんたたちに
風英の勉強を見てもらうわ」

「そ…そんなの、郁翔のほうに
頼めばいいじゃ…」

「郁翔は了承済みよ。もちろん、
私もタダで、とは言わないわよ?」


にこりと更に笑みを深める。



「そんなの横暴だろ!俺達だって
大変な時期…」


言い返そうとした時、母さんの顔から
笑みが消える。