それでも君が好きで。




「バ…っ、お前…!」


風英は引き離そうとすると、
余計に引っ付いてきた。


「!?、ちょ、お前…離れろよ!」

「やぁだ〜♡」



ひよちゃんに視線を移すと、
ひよちゃんは無言で俯いている。



「ひ、ひよちゃん!これは…っ」


誤解を解こうと口を開きかけた時─…。



「…樹里くんて、
"やっぱり"樹里くんなんだね…」


ひよちゃんの拳がブルブルと
小刻みに震えている。




「…っ、信じてたのに…!
樹里くんの言葉…私、ホントに
嬉しかったのに…!!」


ひよちゃんはそう言うと、
部屋を飛び出した。


「ひよちゃん…!?」


慌てて風英を引き離し、ひよちゃんの
後を追おうと部屋を飛び出した時、
誰かにぶつかる。


「っぶ?!」


ぶつけた顔をさすりながら顔を上げると、
そこには笑顔の母さんの姿があった。


その片手には温かい淹れたての紅茶と、
お菓子が3人分持たれている。