ぐすん、と泣かれてしまう。
「う…」
風英を泣かせたら、
母さんに絶対怒られる。
でも、今はそれよりも大事なことがある。
「樹里くん、私のことキライ…?」
「そ、そんなことはないけど!
けど、俺には用事が…!」
「うわーん!私よりそっちの方が
大事だって言うのー!?」
「え、おい…っ!?」
がばっと風英に抱きつかれた上、
泣きつかれてしまう。
そんな時、どさりと後ろの方で
何かが落ちる音がした。
音のした方を見ると、
「じゅ、りくん…?」
俺を迎えに来ていたのか、
びっくりした顔のひよちゃんが
そこに立っていた。
「ひ、ひよちゃ…!」
やばい。これはヤバイ。
そう思うと、どうしていいか
判断がつかなくなる。
「? だぁーれ?このヒト。
樹里くんの知り合い??」
焦る俺に追い打ちをかけるように、
風英が尋ねた。
