─数十分後─
「…なんで、梨本兄?」
三橋がじっと俺を見た。
「あ、はは…ごめん、ちょっと
お邪魔させてもらっても
いいかなーって思って…」
ひよりと樹里の承諾は得ている。
が、三橋の機嫌がこの通りだった。
「ちょ、棗ちゃん…!
そんな言い方しないでよ…」
ひよりが三橋を宥める中、
樹里が俺に座るように促す。
「…なんで、こいつとご飯なの!」
三橋の機嫌は悪いまま、昼食を進める。
まぁ、彼女の機嫌が悪いのも仕方ない。
三橋にぶたれたあの日から、
三橋と会話をした記憶がない気がする。
「棗ちゃん…郁ちゃんは
悪くないんだってば…!」
「どこが悪くないのよ、こんな鈍感男!
ひよりもよく許せるわね、こいつのこと」
「あ、そのことなんだけど…」
言いかけたひよりを制して、
「待って、それは俺から話す」
と答えた。
三橋が横目でじろりと見てくる。
「…なによ」
「俺、碧海…結城とは、もう別れたんだ」
その言葉に対して、驚くことなく
三橋が俺を見る。
「…で?それで?」
「それでって…それだけだよ。
俺、もうホント関わりないし……」
「…はぁー…これだから鈍感男は…!
あたしが言いたいのは、
ひよりに散々な思いをさせたことを
謝れって言ってるの!」
