それでも君が好きで。




「わ、私は何も変わってないよ…!
むしろ変わったのは郁ちゃん達の方だよ!
カッコ良くなって、人気者になって…
私の手の届かない存在になっちゃって…」

「ふ、そんなことないよ?
俺はいつも通り。もちろん樹里も。
変わったのは外見だけ、だよ。
中身は変わっちゃいない」

「そんなことないよ!」

「ホントだよ。ほら、今だって
昔の俺のまま。変わってないでしょ?」


にこりと笑って、ひよりに見せる。


「…それを言うなら、私だって
昔と変わらないよ…」


拗ねた子供のようにひよりが答える。


「ふはっ、もうキリないじゃん」


俺が笑うと、ひよりも笑い出す。


「…良かった。ひより、笑ってくれた」


俺が言うと、ひよりがきょとんとして
俺を見る。


「泣いてるひよりも可愛いけど、
俺はやっぱり笑ってるひよりの方が
大好きだな」


その言葉がよほど照れたのか、
ひよりの顔が真っ赤になる。


「……………ぷっ。
リンゴみたいに真っ赤だよ?」


ふに、と頬をつつかれたひよりが、
慌てて後退る。


「~っ、何か今日の郁ちゃん、
樹里くんみたいに意地悪…っ!」

「だって双子だもん。
似てもおかしくないでしょ?」

「そんなの理由にならないもん!」


俺達が言い合いしていると、


「あらあら、梨本くんも
元気になったみたいねぇ?」


と、保健室の先生がやって来た。