─翌日─
「──郁ちゃん?」
呼ばれて顔を上げると、
目の前にひよりがいた。
「…あれ?ひより…?」
「大丈夫?郁ちゃんが授業中に
寝るなんて珍しいね」
「あ、いや…ちょっといろいろあって…」
今更、進路のことを悩んでるなんて
ひよりに言えるわけがない。
「…そうなの?
あ、そうだ。さっきの授業のノート
提出になってるんだけど、出せそう?」
よくよく見てみると、ひよりの手には
たくさんのノートが積まれていた。
「あ、うん…ノートは取れるだけ
取ったから…だいじょう、ぶ…」
…あれ?
なんか、頭がクラクラし──……。
片方の体と顔が冷たい床に
叩き付けられる感覚がした。
その後すぐに、ひよりの悲鳴が聞こえた。
(あれ…?俺…なんで床に…?)
体も満足に動かせないまま、
俺は深い闇に飲み込まれていった…。
──────────────────
─あれから、どれぐらい時間が
経ったのか分からない。
けど、目を覚ますと、
保健室の天井が見えた。
「…?」
少しだけ、体を動かしてみる。
先程よりかは体が動いた。
でも、起き上がるにはまだ体が重い。
でも、そのおかげで、
自分が倒れてここに
運ばれてきたことに気付いた。
