「──きさん、ゆう…さん」


少し、視界がぼやりとしていたけど、
徐々に霧が晴れるように
クリアになってきた。


「結城さん!」


呼ぶ声にハッとして我に返る。



「…あ、な、何?」


気がつくと、クラス委員長が
私の顔を覗き込んでいた。


「さっきから名前を
呼んでいたんですけど、
気が付きませんでしたか?」


眼鏡を押し上げながら、委員長が言う。


「…すみません、考え事してました」


私が答えると、委員長が
大きな溜息をついた。



「…全く、編入生だからって、
甘くは評価しませんよ。
今度からは総合の時間は、
きちんと話を聞いてくださいね」


また眼鏡を押し上げながら委員長が言う。


そんなに眼鏡がずり下がるなら、
新しいのに変えるかなんとか
すればいいいのに。


そんなことを思いながら、委員長を見る。



「…まぁ、今回はいいでしょう。
まだこの学校には少し慣れない所も
あると思いますしね」

「あの…」


私が切り出すと、委員長が私を見た。