「いてっ」
力が少し強すぎたのか、
樹里くんが尻餅をついた。
「ご、ごめん!力、強すぎ─」
言いながら私の伸ばした手を、
樹里くんは勢い良く引っ張った。
勢いのまま、影側に隠れるようにして
私は樹里くんの膝に座らされる。
「えっ…」
身じろぎする私の体を背中から
ぎゅっと抱きしめられる。
「手荒い歓迎だね、ひよちゃん?」
樹里くんの低い声が、耳をくすぐる。
「ちがっ…だって、樹里くんがいきなり
き、キスしようとするから…!」
「そうだね」
ふっ、と耳に息を吹きかけられて
くすぐったい感覚に身震いする。
「でも、したいキスはココじゃないよ」
とんとん、と唇を指先でつつかれる。
「え…?じゃ、どういうー…」
言い切る前に、樹里くんが
私の腫れた頬側に唇でそっと触れた。
