「ごめんね、一人で行かせちゃうなんて」


さっき見た郁ちゃんと同じの、
悲しそうな顔をした。


「大丈夫だよ?私、一人でも平気だから」


私が答えると、


「そんな寂しい言い方しないでよー」


と、樹里くんが私の頭を
こつん、と軽く叩いた。


「あ、そうだ」


何を思ったのか、樹里くんが
私を教室から連れ出した。



「えっ、どこ行くの?ホームルーム
始まっちゃうよ?」

「大丈夫、すぐ済むことだから!」



元気な様子でつかつかと
廊下を歩いていく。


(どこ連れてく気なんだろう…?)


少しモヤモヤ考えていると
廊下の角を曲がった途端、
樹里くんが不意に私の両肩を掴んだ。


「??」


私は樹里くんを見上げた。



(ここって掃除用具室の前…?)


少し暗がりがある、
人目のつきにくい場所だ。


こんなとこへ連れてくるなんて、
一体何するのだろうか。


すると、樹里くんの顔が
ゆっくりと近付く。


「!?」


(こ、こんなとこに来て、
まさか、き、キス…!?)


私は少し身構えながら、


「ま、待って!な、何するの?!」


私は慌てて樹里くんを突き飛ばす。