それでも君が好きで。




「…それって、始めから
利用するつもりで近付いた、ってこと…?」


私が尋ねると、彼女は頷いた。


『ひより』


ふっと郁ちゃんの笑顔を思い出す。


私の彼女に対する怒りが心の底から
沸き上がってきた。



──『幸せになれよ、ひより』──


彼はあの日そう言ってくれた。



…その笑顔を裏切れる彼女が、
なんで郁ちゃんの彼女になれるんだろう。


許せない気持ちが、どんどん私を
怒りの色に染めていく。


「…信じられない………。
何であなたみたいな人が……」


怒りに震える私をよそに、


「あなたはいいわよね。
幼馴染みっていうだけで、彼らのそばに
当たり前にいられて」


と結城さんが言った。


(…あ………)



──『それに、あんたは羨ましい
ポジションにいるしね』

『羨ましいポジション?』

『そ。あんたはあの二人の幼馴染み。
それに、一緒に登校できる仲。
このポジションを羨ましがらない女子は
いないでしょ。
私もあの中に混ざりた〜い♡って
女子が何人もいるしね』──


私はふと、棗ちゃんとの会話を思い出す。