それでも君が好きで。





「…はぁ……」


結城が涙目のまま、俺を見た。


「…助けて……」


結城が突然俺にしがみついた。




「!?…お、おい…!?」

「郁くんからあの子を引き離してよ…!」


結城が叫んだ。



「な、何言って…」


続けようとした俺の言葉を遮るように、
結城は天井を指さす。


「…?」


俺は結城を見た。


「上の階に、あの子達がいるの…」

「あの子達…?
それってひよちゃんたちのことか…?」

「そうよ…」

「!」


結城を引き剥がし、走り出そうとした俺を
結城が止めた。



「…ねぇ、樹里くんもあの子がいいの…?」



結城がなぜそんなことを尋ねたのか
分からなかった。


「いいの、って…そんなの、
好きだからに決まってんじゃん」

「っ…私の方が!!」


結城が叫んだ。



「…私の方が…樹里くんを愛せるのに…!」

「…? 何言ってるんだよ、
お前には郁翔が…」



「…………………………好きなのよ」



結城が呟くように言った。