(クソ、目離すんじゃなかった…!)
職員室に飛び込んでみると、
担任が驚いた顔をしてこちらを見ていた。
「ん?どうした?梨本」
「先生、ひよちゃ…綾瀬は…?」
「む?綾瀬ならさっきここを
出て行ったばっかりだが…?」
「…そ、そうっすか…で、どこに?」
「資料室だが…綾瀬に用か?」
「あ、はい。まぁ…。
あ、ありがとうございました!」
適当に受け答えして、
俺は職員室を後にした。
「…っはぁ、はぁっ……っく…」
走ってる途中、足がもつれそうになる。
"何も起こらないでくれ"
頭の中でその言葉だけ
何度も繰り返しながら走った。
…その時。
カツンっ…。
靴の踵が鳴る音が聞こえた。
ハッとして顔を上げると、
そこには結城が立っていた。
