それでも君が好きで。





ー放課後ー


「あれ?なぁ、三橋」


ひよちゃんの姿が見当たらなかったので、
三橋に声をかけた。



「んー?なに?」


雑誌を見ながら三橋が答えた。



「ひよちゃん知らねぇ?」


俺の言葉に三橋が雑誌から顔を上げる。



「いないの?じゃあ分かんないけど…」

「え、マジで?」


そんな俺達の会話が聞こえたのか、
ふと近くに座っていた
クラスメイトの女子が、


「あー、綾瀬さんなら、
なんか先生に頼まれごとしてたみたいで
郁翔くんと出ていったの見たよー?」

「へ?郁翔…?」

「先生があと他に手伝える奴いるかって
声かけててー…。
誰もいないと思ってたら、
郁翔くんが立候補してたよ」



(な、何で俺の知らない間に…??)


「あ、ありがと!」


俺はクラスメイトに礼を言うと、
教室を飛び出した。


(…なんでまたあの二人なんだ…?)


廊下を走り抜けながら、迫り来る不安に
胸騒ぎを覚える。