「ひよちゃんに真実を
言わないってことは、あいつのことを
本当に好きなんだね?」
「…そうだよ。
だから付き合ってる」
「……あっそ。でも、知らないままに
しておく方が、残酷なんじゃないの?」
…残酷?
「残酷ってなんだよ。俺達が付き合って
いることは、ひよりには関係ないだろ」
「関係ない、か…。はっきり言うね?」
「お前こそ、訳の分からないことを
ぐだぐだ並べるなよ」
樹里はいつもの態度で俺を見ている。
「…訳の分からないこと?」
俺の言葉が気に食わなかったのか、
樹里が睨んできた。
「……はぁ。もういいよ、”兄貴”。
用がないなら出て行ってくれよ」
樹里が俺を部屋から追い出そうとする。
「ちょ、待てよ!
用事があるからここに来たんだって!」
慌てて閉められそうになるドアを掴む。
「ひよりと連絡がつかないんだ」
「…は?」
「今日一緒に帰れなかったこと
謝ろうと思って電話したけど、出なくて…。
家に行っても、まだ帰ってないって
ひよりのおばさんが言ってたんだ」
