「兄にも負けないで、ここまで来た
あんたを褒めてるんだよ」
三橋を見上げると、にこりと優しい笑顔が
俺を見つめていた。
「……大事にするよ」
俺はそう答えた。
そう答えることが今一番
相応しいと感じたからだ。
「当たり前だ、馬鹿め。
大事にしなければコロス…!」
三橋のいつもの声のトーンが返ってきた。
「は、はいぃっっ!!!!!!」
「…ま、でも。これで、
私達も心置きなく過ごせるわけだ」
三橋がすっと立ち上がる。
「そ…うなのかな……だといいんだけど…」
俺は少し嫌な感じを
胸に残したまま答えた。
「なに、どういうこと?
まだ何かあるの?」
三橋が怪訝そうに尋ねる。
「……結城の奴が…」
眉を顰(ひそ)めて俺が言うと、
三橋が察したのか、
「邪魔する気満々…とか?」
と言った。
あながち間違ってないかもしれない答えに
俺は頷いた。
