それでも君が好きで。




「また貴様は…付き合ってもないのに、
ひよりにキスしようとしたな……?」


俺はその言葉に対して
頭の上に?を浮かべた。



「付き合ってないって…何?
俺ら、もう付き合ってるんだけど…」

「…………………………………は?」



長い沈黙の後、三橋が
きょとんとした声をあげた。



「えと、その…ひよちゃんから
聞いてない?」


三橋がひよちゃんたちの方に
慌てて視線を投げる。


「ほら、コレすっごくおいしーんすよ!
あーんしてください!」

「え、あ、ありがとう…。
そ、その…自分で食べられるから…」


そこでは楽しそうに
会話が繰り広げられていた。



「チッ…あの野郎…。
次はどうしてやろうか……」


三橋の口から何だか怖い言葉が
漏れた気がするけど、
怖いから触れておかないでおこう…。


そっと正座し直す。



「ふーん…付き合ったのか……」


三橋がぽそりと言う。


「あ、うん。…そ、です…」

「……」



俺を見下ろす三橋の視線は、
なぜだか怖いものへと変わっている。



「…よし、よくやったな。弟」


何か怖いことを言われるのかと構えたが、
降ってきた声は意外にも優しい声だった。


「え…」