「わー、こんなとこにバカップルがー」
ふと聞き覚えのある声がした。
声のした方を振り向くと、
そこには三橋と八尋がいた。
「え……なん…!?」
(訳:え、なんでお前らがここに?)
「ひよが帰ってくるのが遅いから、
呼びに来たってとこかな」
三橋の顔は笑ってはいるが、
目が笑っていない。
「…梨本弟。ちょっと来てもらおーか。
橘はひよのそばにいて」
「へーい!んじゃ、
ひよりちゃん、お邪魔しますっ!」
三橋はぐいっと俺のネクタイを掴むと
そのまま数メートルほど引きずっていく。
ある程度歩いた後、乱暴にベンチに
投げるように俺を座らせた。
「いてっ!」
抗議をしてやろうと三橋を振り返るも、
それはすぐに飲み込まれた。
目の前に立つ三橋は明らかに
威圧感を纏った黒いオーラを
漂わせている。
「…おい、貴様…」
ゆらりと三橋が俺の前に立つ。
「な、何……ですか?」
「何…?それは
こちらが聞きたいことだが…?」
ギラリ、と三橋の目が光る。
