「だって、なんか大人っぽいこと
たまに言うんだもん…」


彼女は真っ赤になる顔を俯かせながら
ぽそりと言った。



「私ばっかドキドキさせて、ズルイ…」


上目遣いでじろりと俺を見る。


「ひよちゃんばっか
ドキドキしてるわけじゃないけど…?」


俺は彼女の手を取ると、
自分の胸に押し当てた。


「っ!?」


一瞬彼女が何をされるのかと身構えたが、
それもすぐにやめた。


俺の鼓動に気付いて。



「ほら、ドキドキいってるでしょ?」


俺が尋ねると、彼女は分かったと
言わんばかりに首を縦に振る。



「俺はいつだってひよちゃんに
ドキドキしてるよ。
だって、この鼓動が証拠でしょ?」


こくこくと、顔を赤らめながら
彼女が頷く。


「いつだって触れていたいし、
いつだって離れたくないんだよ。
それぐらい好きだから…
ひよちゃんのこと。
…………ひよちゃんは?」



上目遣いで彼女に尋ねる。



「……き…」


彼女が小さな声でなにか呟く。


「聞こえない。もっとちゃんと言って」


彼女が不満そうに俺を見つめる。




「………すき………」


彼女が答えた。