「…進路ぉ?」


俺は心底嫌な顔をした。


「うん。先生がそろそろ考えとけって…。
…って、樹里くんホントに話
聞いてなかったんだ…」


彼女がじろりと俺を見た。


「んー。だってお腹空く4限目なんて
体力削るだけじゃん」


俺は気力無しげに答えた。


「そんなこと言ってるから、先生に
目を付けられちゃうんだよ?」

「う……」

「将来のためにも、ちゃんとしたほうが
自分のためだよ?」

「えー……あ、そうだ」


俺はふとある考えに行き着いた。



「ひよちゃんがキスしてくれたら
頑張るよ、俺」

「…は…?」


彼女が鋭い顔付きになる。



「だから、キス♡
してくれたら、俺、頑張っちゃう♪」

「遊び時代の脳みそが抜けてないのね。
冗談もそれまでにしなさいよ」



バシッと近付けた顔を彼女に
押し返される。



「ちぇー」



唇を尖らせて俺は呟いた。