「そうだよ」
私は樹里くんを見た。
「…物心ついた時には、もう…
好きだったんだよ」
好き、と言われて私はドキッとした。
「…うん…私もようやく気付けたよ…。
誰を今、大事にしなきゃ
いけないのかって…」
私の言葉に樹里くんが目を見開く。
「それって…」
樹里くんが私を見る。
「…私のことを、誰かが
好きでいてくれる世界って凄いね」
「…?」
「…私のこと、好きでいてくれて
本当にありがとう。
私はホント幸せ者だね」
「ううん。俺が勝手に好きなだけだし…」
「そんなことないよ!だって、
こうじゃなきゃ気付けなかったこと
いっぱいあったもん…!」
「気付けなかったこと?」
「…私、樹里くんのことが好きに
なっちゃったんだもん…」
私は少し照れながら体を離して
樹里くんを見上げる。
「…え?」
樹里くんの顔が真っ赤になっていた。
「お、俺をす、好きって…ほ、ほんと…?」
「うん、ホントだよ」
「じゃあ…ずっとそばにいても…いいの?」
「いいよ」
樹里くんが不安そうに私を見据える。