「貧血で気失ってるみたい…」
私は答えた。
「そうか…とりあえず
薬持ってきたんだけど…。
目覚ましてないなら飲めないよな…」
郁ちゃんは私の隣にそっと腰掛けた。
「………………」
三人の間に沈黙が生まれる。
(こ、これって、
私、邪魔じゃない…?)
「…あ、あの…。
私、そろそろ戻るね…?」
私が切り出すのを待ってたかのように、
樹里くんが顔を上げた。
「俺も戻る。用もないのに
長居したくないし」
樹里くんは結城さんを一瞥すると、
椅子から立ち上がる。
「……二人とも忙しいところ悪かったな。
ほんとにありがとう」
郁ちゃんがニコッと笑う。
「ううん。結城さんもお大事に…」
私はそう言うと、
樹里くんと保健室を出た。
「…………」
私達の間に沈黙が生まれる。
私は横目でちらりと樹里くんを見た。
「…誤解しないでね」
樹里くんが突然言った。
「え…っ?」
私は何か口に思わず
出していたのかと思って口を塞ぐ。
「……誤解しないで欲しいんだ。
結城といたのは、ホント偶然なんだ」
ふと、樹里くんが結城さんを
抱えてやって来た時のことを思い出す。
「そ…そうなんだ…」
私は歯切れ悪く相槌を打つ。
「結城が俺のあとをついてきて、
しつこく話しかけてくるもんだから
適当にあしらってたら、急に倒れてさ…」
…何で私は今、こんな話を
聞かされてるんだろう。
樹里くんが結城さんと
いた時のことなんて。
聞きたくないよ…。
ズキン、と胸が痛む。
