それでも君が好きで。




教室に着いて彼の姿を探すも、
彼の姿はそこにはなかった。


「…樹里くん、どこ行ったのかな…?」


教室には、郁ちゃんの姿があった。
その隣には彼女…結城さんの姿がない。



「郁ちゃん」


私は郁ちゃんに話しかけた。


「ひより。どうした?」


郁ちゃんが笑顔で振り返る。


「えっと…樹里くん知らない?」


私の言葉に郁ちゃんの表情が少し曇った。



「樹里?さぁ…見てないけど…」

「…そっか…ありがと」


私は教室をあとにする。




(何だろう…なんだか少し胸がざわつく…)


私は自分の胸に手を当てる。


走っているせいなのか、
それともこの胸騒ぎのせいなのか、
すごくドキドキしている。



「…やな予感…」


窓から見える空が曇り始めていた。


「さっきまで晴れてたのに…なんで…。
今日曇りになるなんて
言ってなかったのに…」


私が呟いていると、


「…ひよちゃん…?!」


少し慌てたような声がした。