──「付き合えばいんじゃない?」
翌日の休憩時間、私は屋上で
さらりと棗ちゃんに言われた。
「はぁ、付き合う……そっか、うん……
…って、えっっ!!!???」
私は棗ちゃんを振り返った。
「だからぁ、ひよりたちが
キスしたいって言うんなら
付き合えば早い話じゃん?ってこと」
「なっ…私は、きっ、キスしたいとか
そんなこと言ってないじゃない!」
「でも言ってることは、
そんなことに近いじゃん」
「ちっ、違うってば!」
私はぐらぐらと棗ちゃんを揺さぶる。
「分かった分かった。
首もげるから揺さぶんないで」
「だからっ、違うってば!」
私は叫んだ。
「あーもう、分かったってば!
分かったから、手ぇ放して」
棗ちゃんが観念したように言った。
私は言われた通り襟から手を離した。
「そもそも、付き合ってもないのに
唇許した時点でおかしいじゃんって
話なわけよ」
棗ちゃんが足を組みながら言った。
「う…はい………」
言い当てられて、私は俯いた。
「で、でも、嫌じゃなかったっていうか…」
「は?つまり、アンタは
好きかもと思えた男になら
簡単に唇許しちゃうってこと?」
