「ねぇ、キス、してもいい?」


頬に触れられた指先は熱くて……。
私は頭の中が真っ白になった。



「…っ…」


熱っぽい瞳で見つめられて、
少し体がすくむ。



「…あの…」


突然、樹里くんがちゅっと
唇で頬に触れた。



「ひゃっ…!?」


私は驚いて樹里くんを見た。



「ごめん…あまりにも可愛いから
我慢出来なかった………」


樹里くんは私の頬に触りながら言った。



「か、可愛くなんてないよ…!」


私は慌てて言い返す。


すると、樹里くんはふっと笑った。



「なんで?可愛いよ」


その言葉に私の胸がきゅうっとなる。


「む、昔はそんなこと
言わなかったじゃない!」


可愛い、なんて前にも
何回も言われた気がするけど、
樹里くんは今まで私をからかってきた人。


今更ながらに調子が狂う。