それでも君が好きで。




「顔に書いてるから」


慌てて自分の顔を押さえる。


「…なーんてね。
今更吹き返すようなことしないよ」


碧海がちょん、と俺の頬をつついた。


「ほら、ぼーっとしてたら
置いていくよ?」



碧海はくすりと笑うと、先を歩き出した。
俺は慌ててそのあとを追っていった。



…気にならないと言えば、嘘になる。
碧海には、聞きたいことがあるのに。



なんで樹里とあんなことになったのか。
本当は知りたい。



「…碧海。あのさ、やっぱりさ…」


と、切り出した俺の言葉を遮るように



「あ、結城さーん!
おはようございます!お兄さんも!」


と、この前会った八尋くんが叫んだ。



「おはよう」


碧海もそれに対して笑顔で答えている。



(聞きそびれたな……)


そう思いながらも、ようやく着いた学校の
駐輪場に自転車を停めに行く。



(ん?)