「…うん。そうだよな」

「…そうだよ」

「…でも、はっきりさせたいってことは
ひよりは樹里のこと…」



俺の言葉に、赤くなりながらも
ひよりは少し考えてから頷いた。



「ちゃんと、向き合いたいって
思ってるよ」


ひよりの幸せを願う俺にとって、
その言葉と笑顔は嬉しいものだった。



「…そっか。上手くいくといいな」


俺は笑いながら答えた。



「あれから…彼女さん、大丈夫だった?」


彼女が尋ねる。



「碧海か?碧海は大丈夫だよ。
…って、そういや、ひよりには
碧海の病気のこと話してなかったよな…」



ひよりが「え」と顔を上げる。



「……碧海は、幼い頃から体が弱くて、
普通の人より少し酷い貧血体質でね。
だから、急に気分が悪くなったり
することがたまにあるんだ」


俺の言葉に彼女は静かに耳を傾けている。



「初めて会った時は、俺もそんなことを
微塵も感じないぐらい元気だった…。
俺の知らない所で、苦しんでいることを
知るまでは…」



ぐっと握り締めた拳に力を込める。



「碧海は…この子は、ずっと一人で
戦ってたんだと思うと、俺は
”俺がこの子にしてやれる事は何だろう”
……って考えたんだ」



話を聞いていたひよりがゆっくり俯く。