───「ごめんなさい……」


碧海はずっと謝っていた。


何であんな状況になったのか、
聞く気にもなれなかった俺は
碧海の謝罪に対して、
「もういい」と断った。


これで何度、心が折れる思いをしたのか。


自分が傷付く分には、
どんなことでも構わない。
けれど、周りが傷付くことだけは嫌だ。


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そうして日が沈み、夜が訪れた。
部屋の窓を開けてベランダに出てみる。


ちょうど、ひよりも
ベランダに出てきていた。



「あ…」


俺がにこりと笑いかけると、
彼女は気まずそうに俯いた。


「…あの、さ…」



沈黙に耐えられず俺は口を開いた。



「あの時冷静じゃなかったよな、俺…。
ごめんな…」


俺がそう言うと、ひよりは顔を上げた。



「…別に」


ひよりはそう答えると、また俯いた。