「…ねぇ、さっき綾瀬さんを
支えながら出てきたけど、
なんで二人でいたの?」


碧海がいつもと少し違う声で尋ねた。



「え?ああ、碧海とはぐれて、
碧海を探してたら偶然会ったんだよ。
あ、いや、会ったというか、
見つけたんだけどな」


俺が答えると、碧海の顔に少し
怒りの色が見えた気がした。



「あ、でもそれだけだから!
何もないし!」


咄嗟に言った言葉が言い訳っぽく
聞こえたかもしれないことに
少し不安を感じながらも、碧海を宥めた。


「…そうなんだ」


碧海がもはや興味が
なくなったような返事をする。




…………今の話に、断じて嘘はない。


お化け屋敷に入って、碧海と急に
はぐれてしまってから、
屋敷内を一生懸命探していた。



そんな中、誰かの泣き声がした。


それは、聞き覚えのある声で…。


まさかと思って走り出してみると、
案の定、そこにはひよりがいた。