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「…マシになったか?」


数時間ほどして、碧海に声をかける。


「…うん」


碧海は頷く。



「…ちゃんと、彼に謝って」


碧海が何かを見越したように言った。


俺が碧海をじっと見上げると、



「彼は悪くないんだから、彼にちゃんと
謝ってねって言ってるのよ」

と、碧海が答えた。



「そうだよな…俺、ちょっと
ヤケになりすぎてたかも」


両手で顔を覆いながら俯く。



「俺、もう…誰かが傷付くなんて
勘弁なんだよ…」

「…郁くん…」



守りたかったものが守れない。
その歯痒さは何とも言えないものだ。



「…なんか、ごめんなさい。
私のせいで、今日楽しくなかったよね?」


碧海が申し訳なさそうに言う。


「いや、別にそんなことは…」



見上げると、少し悲しそうな
碧海の顔があった。



「そんな顔するなって。
元気出せよ…って、体調悪いのに
無理だよな…」


俺は苦笑いした。