私はこっそり窓から校門を見てみた。


確かにくっきりした目鼻立ちに、
ほんのり茶色の長い髪の可愛い女の子が
校門前に立っていた。



(誰だろう…。誰かの知り合いで、
その人を待ってるとか…?)



その時、私は目を見張った。



その女の子の元へ、郁ちゃんが
走って行く姿が見えたからだ。




(…あの子は郁ちゃんの…何?)




彼女は郁ちゃんの姿を見つけると、
嬉しそうに笑う。




その様子を見ていて…なんだか、
胸の奥がザワザワした。



見ていると、郁ちゃんとその女の子が
手を繋いだ。




「……っ!」


ちくんと針で刺されたみたいに、
胸が痛くなる。




……私、ちっちゃい頃から
郁ちゃんを知ってるけど、
あんなふうに幸せそうに笑う
郁ちゃんなんて…見たことないよ…。



郁ちゃん、その人は誰なの…?