それでも君が好きで。




「…っ…!?」


何か唇が温かくなるのを感じた。
目の前には結城の瞼が映っている。



ようやく俺は、
キスされたんだと理解した。



「──っ!」


顔がみるみる紅潮していく。



「…っ何で…っ!」


結城を突き飛ばして
慌てて唇を服の袖で拭う。



その傍らで、トサリと
何かが落ちる音がした。




「樹里…くん…?」



振り向くと、そこには
泣き腫らしたひよちゃんと、
それを支えるようにして郁翔がいた。



「…ひよちゃん、これは…っ」


状況を説明しようと、
慌てて結城から離れる。



「…どういう…ことだよ…?」


ひよちゃんの隣にいた郁翔が言う。



「! だめ、郁ちゃ…」