「…ひよちゃん!」
ぐっと足に力を込めて、
ストップをかける。
「ひよ…」
名前を言いかけて、それは止まった。
「……私とあの子の区別なんて、
やっぱりつかなかったのね」
そこにいたのは、
ひよちゃんでもなく…結城だった。
「な、んで…お前が…」
「…私がこうしたかったから」
「お前、郁翔は…!?」
俺の問いに、結城がフッと笑う。
「…さぁね。どこ行ったのかしらね」
郁翔の彼女とは思えない発言に、
俺は目を見開く。
「…っ!」
俺は慌てて手を振り払う。
「ふざけんな!」
俺はそう叫ぶと、ひよちゃんを探すために
踵を返す。
(何でこんなことに…!)
見失った二人を結城から取り上げた
ライトで照らして探し出す。
「あの二人なら、まだどこかで
迷ってるか、あるいは…」
後を付いて来ていた結城が言った。
