それでも君が好きで。




「…私達もいよいよだね」


ひよちゃんが呟く。


「怖かったら、俺に
しがみついてもいいからね」

「ふふっ。樹里くんてば、大袈裟だよー。
でも、ありがとうね」


ひよちゃんがにこりと笑いながら言う。



(あー、もう抱き締めたいな…!)


あまりの可愛さに悶えていると、
とうとう俺たちの番がやってきた。



「…行こうか」


暗闇にそっと踏み出す。



「う、うん…!」



舞台となる廃墟病院の中は
思ったよりも暗くて、
足元がおぼつかなくなる。



「…ひよちゃん、八尋、ついてきてるか?」


後ろを歩く二人に尋ねる。


「へーい、八尋はココにいますよー」

「ちゃんといるよ」


二人が答える。



「よし」


二人の返事を聞いて安心してから、
再び歩き出す。