「ねぇ、郁くんてば!」
碧海がぷくりと頬を膨らませて
こちらを見ていた。
「あ、ごめん。何?」
「今日、家に行ってもいい?って
聞いたのに、やっぱり
聞いてなかったでしょ?」
「悪い。あ、家?
全然いいよ。おいでよ」
ふと、一つの存在が脳裏をよぎった。
「…あ、やっぱり今日は無理。
いいって今返事したのに、ごめん」
「…分かった。でも今度は
ちゃんと招待してね?」
「分かった。ホントごめんな…」
「なんで謝るの?
郁くんが悪いわけじゃないのに」
碧海がさっきとは
打って変わった笑顔でニコッと笑う。
「何か用事思い出したのなら、
あたし、今日は帰ろっか?
邪魔しちゃっても悪いし…」
俺の表情で何かを察したのか、
碧海が切り出した。
「気遣わせちゃってごめんな…」
ぴしん!
と突然、碧海が俺の額を弾いた。
