それでも君が好きで。




「どうした?もしかして具合悪い?」

「…ううん、少しだけクラッとしただけ」



結城は郁翔の後ろからひよちゃんを少し
睨むようにして見た。



「…ねぇ」


間に八尋が入ってきた。



「もしかして、君って…
噂の編入生の結城碧海ちゃん?」

「おい、バカ…っ」


話を広げようとする八尋を
止めようとするも適わず、
結城が口を開いた。



「…どうも、初めまして。
結城 碧海です」


結城がいつもの笑顔で言った。


「へー!もしかして、隣にいる
梨本のそっくりって、双子の兄貴?」



八尋がじっと俺の顔と郁翔の顔を見る。



「どうも。樹里の兄の郁翔です」

郁翔が答えた。



「二人がここに一緒にいるってことは、
噂通り付き合ってるんだね!」


ペラペラと喋ることをやめない八尋に
俺ははらはらと冷や汗をかく。



「…ま、まぁ…」


郁翔が答えるのと同時に、列が動き出す。



「ほら、あともうちょっとで
郁翔達の番が来るんだから、
邪魔しないでおこうぜ」


慌てて提案する。