それでも君が好きで。





なんと、目の前の一組のカップルを
挟んだ前に郁翔と結城がいた。


(なんというバッドタイミング…!)


嫌な予感がしつつも、俺は郁翔を見た。



「ひよりたちもお化け屋敷に行くのか?」


こちらに気付いた郁翔がひよちゃんに
向かって尋ねてきた。



「そーだよ」


すかさず俺は答えることにした。


「そうか。ひより、
怖いの苦手じゃなかったか?」


郁翔がまたひよちゃんに
質問を投げかける。


(なんでいちいち
ひよちゃんに聞くんだよ…!)


と、内心イライラを募らせていると、



「…もう平気だよ。子供扱いしないでよ」


と、ひよちゃんが
少し拗ねたように答えた。


「そっか。せいぜい泣かないようにな」


郁翔が意地悪そうに言うと、
ひよちゃんは口を尖らせた。


「……郁くん」


隣にいた結城が、拗ねたように
郁翔のシャツの袖をひっぱる。