「じゃあ…得意分野のシューティング
アトラクションに行こう?」

「OK!」


私と樹里くんは顔を見合わせると、
一気に走り出した。



「…あの二人って、付き合ってるの?」


二人を見ていた橘が棗に尋ねる。



「まさか。幼馴染みだよ。
噂で聞いてるでしょ」

「うん。でも、
彼はその気なさそうだけど」

「へぇ、橘にしては珍しく鋭いね」

「…ってことは、彼、
綾瀬さんのこと好きなんだ?」

「そう、当たり……だけど…」


棗が言葉を濁す。


「けど…何?」


橘が尋ねる。


「…ううん、何でもない。
ただ…嫌な予感するな、ってだけ」



棗は二人の小さくなっていく背中を
見つめながら言った。



「…二人ともー!早くー!」


向こうでひよりが棗達を呼んでいる。



「行こうか、橘」

「うん!」


二人は二人の後を追って走り出した。