それでも君が好きで。



「ちゃんと、段階を踏んでから
前に進みたいんだよ」



樹里の言葉に、棗は襟首から手を離した。



「はぁ…まぁ、あんたがそれで
後悔しないっていうんなら
止めないわよ。た・だ・し!」


ぴっ!と樹里の鼻先に
人差し指を突き出す。



「取られて泣きついてきたりしても
助けてやんないわよ」


棗はそれだけ言うと、席についた。



「…相変わらずのお節介だな。
ま、それだけひよちゃんを
大事に思ってくれてるのは、
俺にとっても嬉しい限りだけど」

「それならあんたより、ひよへの愛は
負けない自信あるわよ?」



ふふん、と自慢気に棗が答える。



「それは、俺も同じ」



樹里もまた、自慢気に答えた。



「あ、あの、話は終わった…?」


私は二人に尋ねた。



「とりあえずは、ね。
あの野郎、あんたにまだ
付き合おうって言ってなかったのね」


棗ちゃんの言葉に、
かあっと顔が赤くなるのを感じる。