───あの後、泣きはらした顔を
押さえながら、教室へと向かう。
辿り着いた教室に入る際に、
誰かとぶつかってしまった。
ぶつかった相手は、樹里くんだった。
「あ、樹里くん…もう帰るの?」
私はとりあえず尋ねた。
「…うん」
樹里くんがふいっと
そっぽを向いてしまった。
だけど、一瞬だけ彼の目が少し
腫れているのが見えて気になった。
「そっか。じゃあ、一緒に帰らない?」
私は気付かないフリして、切り出した。
「…無理しなくていいよ」
彼が静かな声で言った。
「…え?」
私はその言葉に耳を疑って、聞き返す。
「だから、無理して
俺と帰らなくていいよ」
少し苛立ちが混じったような声で
樹里くんは言った。
なんで急に突き放されるような
言い方をされたのか、
私には分からなかった。
