「…おいで、ひより」 そんな私を見兼ねたのか、郁ちゃんが 私を屋上に連れて来てくれた。 「…怖かっただろ?」 郁ちゃんが空を見ながら言った。 「…そ…れは……」 怖くて未だに震える手を きゅっと握り締める。 「泣いてもいい。見ないから」 郁ちゃんが私を振り返る。 金網の向こう側から射す夕日が、 郁ちゃんを縁どって輝かせていた。 だから、今向けられている笑顔も なんだか私には眩しく感じた。 「……そんな優しくしないで」