「あ、樹里くん…もう帰るの?」
そこにいたのは、ひよちゃんだった。
「…あ、うん」
さっきまで泣いていた顔を
見られたくなくて、慌てて顔を背ける。
「そっか。じゃあ一緒に帰らない?」
ひよちゃんを見なくても、
ひよちゃんがどれだけ優しいのか
俺には分かる。
「…無理しなくていいよ」
俺は言った。
「え?」
「だから、無理して俺と
一緒に帰らなくてもいいよ」
俺の言葉が意外だったのか、
ひよちゃんの目が少し見開かれた。
「…なんで?
なんで、そんなこと言うの…?」
ひよちゃんが俺の腕を掴んだ。
「ねぇ、樹里く…」
腕を掴んでいた彼女の手を掴むと、
そのまま教室に引き込んで
彼女の背を壁に押し付ける。
