それでも君が好きで。




一人納得して頷いていた時、
声をかけられた。



「樹里くん」



この声と、この呼び方には、
すぐに誰なのかは察しが付いた。



「結城…」


結城は俺の顔を見ると、ニコッと笑った。



「…なんだかんだで事が運んで、
さぞお前は嬉しいだろうな」


壁側にもたれながら言った。



「…別に…私はここまで
望んでたわけじゃないよ」


結城も壁にもたれながら答えた。



「ねぇ、樹里く…」

「俺に話し掛けんな」


言いかけた結城を制する。




「…やっぱり、私のこと嫌い?」


結城が少し悲しそうな顔になる。



「あぁ。嫌いだよ。
お前のことはずっと前から大嫌いだ」



俺は冷たく答えた。



「それにな、お前に気安く
名前で呼ばれたくないんだよ」

「……なんで?」


結城が俯きながら尋ねた。



「嫌いだからだよ」



俺の言葉に、結城は更に俯く。