「ちょっと!よーやく捕まえたわよ…!」
ここは体育館裏。
俺はなぜか、女の子に捕まっていた。
「や、やだなぁ!
逃げてなんかないよ??」
「ふぅん?じゃあなんで、あたしの顔見た途端、逃げるように走ったのよ?」
「ア、アヤちゃん…ご、誤解だってば~」
「もうその笑顔に騙されないわよ?
なによ!白々しい嘘なんかついて!
あたし、見たんだからね。
この前、綾瀬さんと歩いてたの!」
ひよちゃんの名前が出てドキリとする。
「女の子と遊ぶのをすっぽかす
ようになったのは、
綾瀬さんのせいなんじゃないの!?」
アヤちゃんが怒鳴った。
「…俺が勝手に好きになっただけだよ」
俺はギュッと拳を握った。
「…それって、綾瀬さんを好きって
認めるってこと?」
「そうだよ」
俺はきっぱり言った。
「なんで!?なんであんな子の方がいいの!?
あたしなら、樹里くんのこと
つまらなく思わせたりしないじゃん!!」
アヤちゃんが俺の肩に掴みかかった。