「あたしなら…っ…樹里くんに
寂しい思いなんてさせないのに…!」
「アヤちゃん…」
俺は俯いて泣きじゃくる
アヤちゃんの肩にそっと手を置いた。
「なんで……っ」
アヤちゃんは握り締めた拳で
ばん、と俺の胸を叩く。
「じゃあ…もう、遊んでくれないの…?」
アヤちゃんが尋ねた。
「ごめんね」
俺は答えた。
「やだよ……あたしは…樹里くんのこと、
諦めたくないよ…!」
俺だって、今の恋を諦めたくない。
だって今、諦めてしまったら
振り向いてもらえるチャンスなんて
もうないかもしれない。
嫌な奴かもしれないけど、
郁翔という支えをなくした彼女を
振り向かせるには、
いいチャンスだと思ってる。
「ごめん。何を言われても、もう
俺は立ち止まらないって決めたんだ。
俺の心は、もうあの子でいっぱいなんだ」
俺はとくんと高鳴る胸に
そっと手を当てる。
『樹里くん』
ふわりと笑う彼女の姿が思い浮かぶ。
知ってしまった好きを積み重ねてきて、
その思いの丈をぶつけて、
思い知った辛さ。
その痛みは俺も、ひよちゃんも
きっと同じ。
だからこそ、惹かれていく。
