それでも君が好きで。




確かに碧海としては、ひよりに
自分の立場を取られてしまうのでは
ないかという不安があったのは、
あながち間違いでもないのだ。


そして、郁翔がひよりを
碧海が思っていたよりも
大事にしてることが、
なおさら碧海を追い詰めた。



だからこそ、あんなに怒ってしまった。



自分よりもひよりを大事にする
郁翔の気持ちが理解できなかった。



…言えば、もっと自分を
大事にして欲しかった。




別に、ひよりとの仲をここまで
悪くして欲しかったわけじゃない。



ただ、”幼馴染み”というその関係と
”恋人同士”というこの関係に、
きちんと区切りをつけた関係で
いて欲しかっただけ。



でも、郁翔が誰にでも優しい性格だから、
碧海もそれを理解している上で
言いづらかったのもあった。




「…碧海?」



郁翔に顔を覗き込まれて、
碧海はハッとする。



「な、何?」

「どうした?ボーっとして。
もしかしてしんどいか?」



郁翔が碧海の頬にそっと触れた。



「大丈夫…」



碧海は緩みそうになる唇を、
きゅっと噛み締めた…。