「え?そうなんだ…?てっきり
樹里くんって名前呼びしてたから、
仲良いのかと思ってたけど…」
「全然!勝手にあいつが
名前で呼んでるだけだよ」
樹里くんが心底嫌そうに言う。
「てゆーか、ひよちゃん。
あいつのこと、マジで覚えてないの?」
樹里くんが尋ねた。
そういえば、前から私を
知ってるみたいな口ぶりで
この前も話しかけてきたっけ…。
私はぼやっと思い出した。
「あー、確かに。
梨本兄の横にいた女がいたなぁ…。
もしかして、あれがそうなの?」
棗ちゃんが樹里くんに尋ねた。
「まぁ、あながち間違ってないかな…」
樹里くんは空を見た。
「あいつ、あぁ見えて体弱くてさ。
郁翔のやつ、ほっとけなくて
あいつのこと気にかけてたんだよ。
ひよちゃんが結城を覚えてないのは、
結城がしょっちゅう倒れてばっかで
学校に来てなかったことが
多かったからなのかも…って」
樹里くんが私を見た。
「…そうなんだ…」
ほぼ同じ時間を生きてきた私より、
途中から一緒の時間を歩みだした
あの子を選んだのは、
私じゃダメな理由があったんだ…。
