その途端、私の応援が聞こえたかのように郁ちゃんがゴールを決めた。


「ナイスシュート!さすが兄!運動神経バツグンだね!」

棗ちゃんが私に言う。


「うん。郁ちゃんは昔から運動神経いいから、スポーツほとんどが得意なんだよね」

「へぇ。弟は?」

「え…?分かんないけど多分、いいほうだと思うよ」

「さすが、あんたは弟にはあんまり興味無いのね…」

「だって樹里くん意地悪だもん!」

「意地悪?」

「そう!小さい頃から、髪引っ張ってきたり、大事にしてたおもちゃ壊されたりして…。とにかく人のことを泣かせるのが楽しい悪魔だよ!」

「悪魔って…」

棗ちゃんが苦笑いする。


「だから樹里くんは苦手なの!」

「ふーん…。ま、相手(あっち)はそうじゃなさそうだけどね」