「……ごめんな……」
郁翔はそう言うと、
ひよちゃんをゆっくりと抱きしめた。
(!!!! お、おい、何抱きしめてんだ!?)
内心ハラハラしながらも、
二人を見守ることにした。
すると、郁翔は何かを
ひよちゃんに囁くと、
その体をゆっくりと離した。
「ありがとう、ひより」
郁翔はそう言うと、部屋を出ていった。
俺は郁翔の背中を見送ると、
ひよちゃんを振り返る。
「…ふ…ぅ…っ…」
今まで我慢していたひよちゃんの涙が
一気に溢れだした。
「好きだった……っ…。
ホントに大好きだったよ……!」
ポロポロと涙をこぼすひよちゃんは
へなへなと床に膝をつく。
「…頑張ったね」
俺も膝を床について、
その体をゆっくり抱きしめた。