『やーい!ひよちゃんのばーかっ!』
『なによぉっ…!私のこといじめる
樹里くんなんてキライなんだからぁ…っ!!』
『よしよし、ひより。
僕がいるからだいじょうぶだよ』
『へーんだ!いっつもひよちゃんは
郁翔にまもられてばっかじゃん!』
『こら、樹里!
そんないいかたはないだろ!』
『けっ!すきにしろよっ!』
(なんだよ、ふたりでなかよくしてさ…!
おれもいるのに、まるで
なかまはずれみたいじゃんか……!!)
……小さい頃はひよちゃんと郁翔が
仲良くしているのが気に入らなかった。
なんだか二人の間には
割って入れない絆みたいなものが
見えてしまって、俺が入る隙なんて
ホントなかった。
そう、郁翔と結城が付き合いだし、
ひよちゃんが郁翔を好きだと
気付くまでは…。
俺はずるい人間だ。