「今まで郁翔は気付いてなかった
かもしれないけど、この際だから言う。
俺は、ひよりのことが好きだ」




”ひより”


今までそう呼ばなかった樹里が、
ひよりを呼び捨てにした。



「…本気で言ってるのか?」


俺はぐっと拳を握って尋ねた。




「もちろん、本気だよ」



樹里がさらりと答える。




「樹里、」


俺が口を開きかけたとき、


「郁翔がどうこう言う
権利なんてないよな」

と俺の言葉を遮って樹里が言う。



「お前には結城がいるから
関係ないよな?」


樹里の真っ直ぐな目が、俺を見据える。



「……………ひよりは、確かに
幼馴染みだし、彼女でも何でもない」


手に持つ花束をギュッと握り締める。



「でも、幼馴染みに変なものが
付きそうなら止めるよ」



俺は冷静に答えた。